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Channel: 指田文夫の「さすらい日乗」
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『バルカン超特急』

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1938年、イギリス時代のヒチコック映画、大変有名な作品だそうで、私が見るのは多分4回目くらいだが、非常に面白い。

ものの本によれば、列車のシーンはほとんどスタジオで撮ったそうで、終盤近くで、コンパートメントに閉じ込められたマイケル・レッドグレーブが列車の窓から出て、悪漢と誘拐されかけた婦人がいる隣の部屋に乗移るシーン。

明らかに外に出ていて、別の線に列車がギリギリに疾走してくるのは、どのように撮ったのだろうか、何度見ても分からない。

多分、婉曲したスクリーンプロセスか、特撮で画面を嵌め込んでいるのだと思うが。

                           

話は、バルカンと言っているが、多分バルカン半島の旧ユーゴあたり(映画ではバンドリア国となっている)から、特急列車、オリエント急行でイギリスに戻る乗客たちのサスペンス映画。

所謂グランド・ホテル形式で、結婚式のためにイギリスに戻るマーガレット・ロックウッドと民族音楽学者のマイケル・レッドグレーブが主人公で、クリケット試合にしか興味のない英国紳士、不倫らしい愛人カップル、イタリア人奇術師らの乗客が乗っている。

貴婦人が乗ってきて、彼女に当てようとした花瓶が駅の二階から落ちてきて、彼女の代わりに頭にぶつかってしまったマーガレット・ロックウッドが知り合いになる。

だが、彼女が眠っている間に、目が覚めると貴婦人は姿を消していて、乗客の誰もが「貴婦人などいなかった」と言う。

彼女を信じてくれるのは、マイケル・レッドグレーブだけで、二人で列車中を探すことになる。

要は、彼ら以外の全員が嘘をついているわけで、最後は、このナチスに支配されているらしいバンドリア国の警察との銃撃戦になる。

事態を静観し、巻き込まれないようにしていたイギリス人たちも最後は戦いに立ち上がる。

そして貴婦人は実はスパイであり、二国間条約の暗号をメロディでマイケル・レッドグレーブに伝える。

最後、英国外務省に無事二人は付き、ロンドンに出迎えに来ていた婚約者を無視して二人は抱き合う。

ヒチコックの映画技術が完成されていたことを示す映画で、その意味ではわが日本の円谷英二も、この頃すでに東宝の航空教育製作所で、特撮技術を磨いていたのである。

ヒチコック映画に意味をさがすのは、あまり意味のないことだが、あえて言えば、情勢に無関心、静観していると、いずれは紛争に巻き込まれるぞ、ということだろうか。

この翌年には、ドイツのポーランド侵攻で、第二次世界大戦が始るのだから。

イマジカBS


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