篠田正浩監督の1作目で、ジャズからロックへの大衆音楽の移行を背景とした作品。
東京駅のドームの下に、ジャズメンが仕事を求めて来ていることがあり、アルトサックスの小坂一也は、
女性マネージャーの鳳八千代から仕事をもらって渋谷の地下の店に行く。
そこは、秘密実演店で、ドラムが一人いて、彼の指示でスロールンバならなんでも良いと演奏する。
男女の半裸のダンサーが出てきて、これから行為に入ると言うときに、店から「手入れだ」との声が掛かり、
小坂や鳳らは外へ逃げる。
この鳳は、ナベプロの渡辺美佐をモデルにしているが、彼女がジャズ・メンを供給していたのは、大体米軍基地で、こういう秘密クラブではなかったと思う。
小坂は、下宿に帰る途中で、陸橋から自殺しようとしている牧紀子に会う。
小坂は、チンピラの男と同居しているが、そこで牧も一夜を過ごす。
彼女は、2年間男に騙されて同棲してきたのだという。
小坂は、新宿の鳳の事務所に行くが、同時に牧にも仕事を世話してくれと頼む。
鳳は、平尾昌明を売り出したく思っていて、興業会社の高野真二に依頼する。
そこに平尾が来るが、彼は牧紀子に一目惚れしてしまう。平尾の周辺にはグルーピーがいるが、そのリーダーは富永ユキである。
平尾の実演も出てくるが、そのバンドのリーダーでスチールギターを弾いているのは、ホリプロの堀威夫である。
小坂は、ナイトクラブのバンドで働くようになり、そのバンドのリーダーは、海老原啓一郎で、小坂が吹くアルトは海老原のものだと思う。
牧は、パレス劇場なるところで、ヌードダンサーの訓練を受けるが、平尾が彼女を好きになっているので、
鳳と高野は、相互に嘘を言って、平尾に牧紀子を誘惑さて、ホテルに行き一夜を過ごす。
ここが横浜だと記憶していて、それを確かめて見たのだが、間違いなくバンドホテルだった。遠くには山下橋も見えた。
ただ、出入り口が、新山下よりで、私が知っていた頃は、山下公園向きだったと思うので、どうかと思ったが間違えなかった。
二人は、互いに嘘に怒るが、平尾は、本気だと言う。
この間に、2年間同棲していた医者の佐竹明夫が、牧紀子を追っかけてくる挿話があるが。
最後、同居していたチンピラが持っていた拳銃を小坂一也が手にして、『恋の片道切符』を歌っている平尾に放つ。
小坂は、グルーピーたちにボコボコにされ、警察に逮捕される。
新聞記者、鳳八千代らが去った後、一人牧紀子は警察の廊下で、平尾を待っている。