1969年の石井輝男監督作品。東映京都で、助監督の就労拒否等が起きた問題作である。
監察医の吉田輝雄が、自己の妻の死から、女性の性犯罪に関わる事件を紐解く。
最初は、戦後の東洋閣事件、これはいろいろな作品で取り上げられているが、「悪女もの」は石井のものではないことが分る。
次は阿部定事件で、ここでは浅草橋で吉田が、本当の阿部定さんに会うシーンがあるのには驚く。
この時代には、まだご健在だったのか。
3話目は、喜劇で、由利徹の大学生が、すごいおばあさんに迫られ、ついにはあそこをちょん切られる。
本当におかしいのは、さすが由利徹。
4話目は、小平義平事件で、小池朝雄が熱演している。小池の熱演は、今村昌平の傑作『復讐するは我にあり』の緒形拳を思わせる。
見ていると、この小平は、緒形が演じた西口浩のような、多重人格者、その時々で人格を変えてしまう異常な人間であることがよく分る。
最後は、明治幕末期の高橋お伝の話。
これについては、同じ元新東宝に、中川信夫の作品がある性か、しごくあっさりしている。
石井輝男作品は、意外にも勧善懲悪的だというのが私の考えで、これもそうだと思える。
衛星劇場