前作の『道場破り』がヒットしたのだろう、長門勇主演、丹波哲郎助演で作られた松竹京都の時代劇。
話は、ある剣法の師範の道場の三代目の御曹司の長門勇が、有望な弟子の一人菅原文太をいきなり殺してしまい、一切理由を言わない。
そこから長門は様々な奇行を起こすようになるという、『忠直卿行状記』のような「ご乱心」ものである。
もちろん、最後はご乱心、ご乱行の理由が明かされるが、あまり納得できるものにはなっていなかった。
こうしたご乱心ものは、大正ヒューマニズム的で、武士道の非合理性、非人間性を描くもので、以前は納得できなかった。
だが、4年前の鳩山由紀夫首相の、宇宙人的言動を知って私は考えを変えた。
「こういう上流にいて、普通の人間の世界から隔絶されて生きてきた人間には、ご乱心と見えるような性向がありうるのだ」と。
そう考えると、現在の安倍晋三首相の言動のおかしさも、一種の「ご乱心」として考えられるのではないかと思った。
安倍首相は、幼少時から公立学校には通わず、彼と同じ階層の私立学校に行っていたのだから、多分友人も側近のごとき者で、忠直卿のような生育環境だったのだと思う。
誰か、若殿のご乱心を止める本当の忠臣は、自民党にいないのだろうか。