立花隆が亡くなった、80歳だったそうだ。
もっと上だと思っていたが、私とは7歳違いなのかと思う。
彼の本はよく読んでいたが、一番感動したのは、『宇宙からの帰還』で、宇宙飛行士の何人かが神を見てしまうのが驚く。
彼の著作では、なんと言っても田中角栄のものだが、違和感を感じたこともある。
それは、田中真紀子についてで、彼女は、角栄が倒れて入院したとき、早坂茂三らの側近が見舞客に高級寿司を取り、その付けが一月200万にもなった。
そこで、真紀子は、側近を首にしたというのだ。
ここには、田中角栄と田中真紀子の考えの差が象徴されていたと思う。
角栄は、自分のところに来る者に最大限のおもてなしをした。それが農村の仕来りだったからだ。
だが、真紀子は、早稲田大学にいた後、アメリカに留学して近代的人物になった。
この辺は、小泉純一郎も同じで、彼もイギリスに留学している。
私は、田中角栄は、アジア的指導者、政治家だったと思う。
田中の言葉で、敵にどう対処するかで、敵と自分の間の連中をまず、中立にする。
そして、次第に中立派を自分の陣営に引き込んでゆく。
これは、中国の毛沢東の「中間地帯理論」と同じである。
毛沢東は、アメリカ帝国主義と中国の間のアジア、アフリカ、ラテンアメリカ諸国を自分の側に引き込み、次第に自国陣営に入れると言うものだ。
これは、農村という広がりの中にこそ成立する思考方法で、毛沢東も田中角栄も同類だと思う。
様々な人が雑居している都市では、成立しないと思うのだ。
「知の巨人」の冥福を祈りたい。