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Channel: 指田文夫の「さすらい日乗」
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『旅の重さ』

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昔、名画座でよく上映されていた1972年の作品。
           監督の斉藤耕一は、映像と音楽は素晴らしいが、物語性が希薄な人。映像は、元がスチールマンだったからだが、音楽はジャズ・マニアで、中村とうようさんも、よく新宿の中古屋で会ったと言っていて、『レコード・コレクターズ』の座談会に出たこともある。だから、最初の映画『囁きのジョー』では、渡辺貞夫らを使っていたが、ここではフォークのよしだたくろうを起用して成功している。要は、分りやすくしているわけだ。
この映画を見ていたとき、私などは、途中はどうでも良く、早く最後の場面にならないかと思ったものだ。そして、「あの子は誰だ」と言い合ったものだ、もう死んでしまった俳優の山本亮などと。海辺の町で、小説の好きな少女として出てきて、すぐ自殺してしまう少女で、「小野寺久美子っていうのか」と思ったものだ。
この話しは、要はファーザー・コンプレックスの少女・高橋洋子が、父親を探す旅に出て、最後は高橋悦也という父に会うということだ。途中で出てくる三国連太郎らの旅役者は面白い。三国の他、砂塚秀夫らは、嬉々として演じている。だが、これらは少女の父ではなく、最後の漁師の高橋と一緒になる。さて、この少女役は、オーディションで決められて、高橋洋子が一位になり、二位が小野寺だった。そして、彼女のために最後のシーンを作ったとのことだが、もちろん、すぐに秋吉久美子になる。今回の放映では、ラストのタイトルは、秋吉久美子となっていた。昔の上映では、小野寺久美子だったが。この映画での高橋洋子は、甲子園大会優勝投手みたいなものだろう。青春の輝きである。衛星劇場

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