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Channel: 指田文夫の「さすらい日乗」
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志村智雄さん、死去

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今日の朝刊に、元前進座の俳優、志村智雄さんの訃報がでていた。知合いで、新聞の訃報がでるのは、中村とうようさん、漆川由美(井上遥)に次いで三人目だ。志村さんは、私が早稲田大学劇団演劇研究会に入ったとき、二年上の三年で、劇の主役をつとめていた。
            ジェームス・ボールドウィン作の『白人へのブルース』で、主人公黒人青年リチャードの父親の役だった。このとき、私は、その他の黒人青年を演じた。終わった後の演出に堀内聡さんからの批評で、「黒人青年の中に、黒人少年がいた」というほど、美少年だったわけだ。
志村さんは、北海道から出てきて、早稲田の法学部に入り、劇研にも入った。きちんと四年で卒業し、就職せずに劇団東京演劇アンサンブル(旧三期会)に入った。だが、まるで収入はなく、これはいくら何でもひどいとのことで、前進座に入った。前進座は、給与があったわけだ。前進座は、戦前からの俳優が沢山いたので、なかなか主役とは言えなかったが、脇役で出ていた。映画では、日活最後の映画『落陽』に、憲兵役で出ている。このとき、監督は、原作の伴野朗はなにもできず、脚本の藤浦敦がやっていたことを聞いた。また、自分で演出もされ、知人たちで芝居をされていた。中では、劇団俳小でやった、山田風太郎原作の『幻燈辻馬車』は面白かった。
前進座に長年いたので、河原崎長十郎と中村翫右衛門のことについて聞こうと思っていたのに、それもできなくなった。今回の訃報で知ったのは、しむらのりおで、ともおではなかったことだ。ご冥福をお祈りする。

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