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Channel: 指田文夫の「さすらい日乗」
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『浪人街』

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「時代劇復興」の掛け声の流れで作られた作品、その中心はマキノ雅弘で、サイレント時代の自身の名作をリメイクしたもの、監督は黒木和雄。主演は、勝新太郎で、原田芳雄、石橋蓮司、田中邦衛、樋口可南子らの豪華キャスト。話は、街外れのぼろ長屋に住む浪人が、旗本たちと大殺陣を演じるというもの。このほとんど崩れかかったボロ長屋のセットはいい。
          
相手の旗本の首領は、中尾彬で、町に跳梁跋扈する売春婦(夜鷹)が世の乱れの元だとして、夜中に次々と殺害している。まるで、新宿歌舞伎町が、日本社会の乱れの元だとして「浄化作戦」をした石原慎太郎都知事みたいだ。浪人街の飲屋が、彼女たちの巣でもあり、そこには勝新太郎以下の浪人が屯している。
最後、旗本たちの悪行に耐えかねて、浪人たちが戦いを挑んで勝つ。この殺陣は、延々と続き凄い。一時は、旗本側に付いていた勝も、最後は自分の腹と中尾を串刺しにして殺す。このときの有名な台詞が、旗本側が「裏切ったな」と言うが、「表返ったんだ!」だが、ここでは使われていない。
公開当時に川崎の映画館で見て、詰まらないと思ったが、今回見てみると結構面白い。ただ、若さがないというか、弾むものがない。サイレントの『浪人街』は見ていないが、多分マキノ雅弘らの若さが弾けた作品だと想像する。戦後も、マキノ雅弘は、松竹でリメイクしていて、近衛十四郎、藤田進などで撮っていて、これも見たことがあるが、イマイチだった記憶がある。さて、今回と言っても1989年の作品だが、豪華すぎた気がする。こういう映画は、本来はもっと小さなスケールで作られるもののような気がした。衛星劇場


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