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Channel: 指田文夫の「さすらい日乗」
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『狂熱の孤独』

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曙町のエロビデオ屋で買った1枚。
                   原作が、サルトルで、主演はジェラール・フィリップとミシエル・モルガン。1953年のフランス・メキシコ作品で、メキシコの町(ベラクルスの近くらしい)にフランス人の夫婦が旅行でやってくる。夫は、血を吐いて倒れてしまう。汚い姿の男、ジェラール・フィリップがいて、彼は夫をホテルの部屋に運ぶが、死んでしまう。細菌性の伝染病で、次々と患者が出る。
さて、かつては日本でも非常に人気のあったのが、サルトルで、私も大体は読んでいたが、高校で運動部の女性も、サルトルを読んでいて「『嘔吐』は感動した」と言うのでびっくりしたことがある。意外にもサルトルは、映画のシナリオも書いていて、映画『賭けはなされた』は面白い作品だった。また、戯曲にも優れたものがあり、大学では『アルトなの幽閉者』をやって、数年前に新国立劇場でも見て、大変に面白いので驚いた。彼は、今後は思想家というよりも、劇作家として評価されるのではと言う意見もあるくらいだ。
原作は、1940年代に書かれたもので、カミユの『ペスト』にも似た構想である。ミシエル・モルガンは、早く町から出て行こうとするが、続出する患者のために当局によって隔離命令が出て、町にいるしかなくなる。手当は、たった一人の老医者によって行われている。ジェラール・フィリップは、医者だったが、出産時に妻を亡くしてしまい、以後酒浸りになっているのだ。町には、飲屋・ホテルがあり、そこでジェラール・フィリップが踊り狂うのを見て、モルガンは驚く。音楽は、メキシコのマリアッチだが、50年代なのでマンボになっている。これを機に、モルガンは彼を好きになり、教会で、神父に懺悔する。彼女は言う、「夫が死んでも泣けず涙がでない、そして彼を好きになっている」と。最後、海岸に仮の病棟を作る彼のところに行き、二人は固く抱き合って終わり。どこが「孤独な狂熱」なのかと思うが、悪くない作品だった。





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