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Channel: 指田文夫の「さすらい日乗」
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『しなの川』

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1973年の松竹映画、原作は上村一夫の劇画で、由美かおる主演の『同棲時代』のヒットに次ぐ作品である。由美は、新潟の十日町の織元の娘で、父は中谷昇、母は岩崎加根子だが、男と出奔したとのことで不在。そこに職工として、龍吉の仲雅美がやってきて、その美貌に由美は目をつける。彼を偏愛し、自分の部屋に招き、幻灯を見せる。彩色された映絵で、この辺の美術、衣装、小道具等の時代考証は大変にきちんとしている。だが、逆にいえば、松竹映画は、この戦前、昭和初期にすべてが止まっていたとも言える。龍吉は、工場の男達にいじめられるが、これは女工哀史ならぬ、職工哀史だとも言えるが、脚本がジェームス・三木なので運びは上手く、面白い。
         
由美の自由奔放な行動に手を焼いた父親は、彼女を長岡の寄宿制の女学校に入れる。だが、そこで、左翼の国語教師岡田祐介とできてしまい東京に駆け落ちする。家に戻され、岡田も家族が住む伊豆に行くが、そこに由美が来て、二人は一緒になり、由美は、岡田に体を許す。ここまでセックスしていなかったのかは不思議だが。ここは、最初仲雅美の家に行ったとき、滝でさらす裸体と共に二回目の由美かおるのヌードシーンで、最大の見所になる。これでもうどうでも良いとばかり、由美は、金持ちの息子への嫁入りを承諾する。一方、仲雅美は、進行する不況の中で、満州に行くことでエンド。監督野村芳太郎、脚本ジェームス・三木、撮影川又昂のベストの陣容であることはさすがだと思う。岡田祐介は、あいかわらず下手だが、教師役は合っていると思う。中谷昇から岩崎が去ったのは、中谷がホモ・セクシュアルだったというのがあり、相手の番頭役は山本豊三だった。この人は最近は全く見ないが、創価学会で活躍されているらしい。日本映画専門チャンネル

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