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Channel: 指田文夫の「さすらい日乗」
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『新・悪名』

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2作目監督と言われる森一生だが、これは3作目。戦後、復員列車でのシーンから始まる。『兵隊ヤクザ』みたいだが、それは1965年。何年ぶりと聞かれて「満州事変だから14年ぶり・・・」と言っているが、それは少しおかしくて、1947年頃のようだ。というのは、八尾に戻ってくると、「農地解放で、田んぼが自分のものになった。戦争で良かったのはこれだけだ」と父親が言っているからだ。戦後の「民主的改革」で大きなものの一つが農地解放で、これで戦前は「小作争議」など労働者と同様に反政府運動の主力だった農民は、保守に転じたからだ。これで地方は、自民の牙城になるのだ。
勝新太郎の八尾の朝吉は、戦死したことになっていて墓まであり、妻の中村玉緒は他の男と結婚している。こうした悲劇は実際にあり、山本薩夫と亀井文夫の共同監督の『戦争と平和』も、同様の悲劇である。勝は、戦争で未亡人となった浜田ゆう子が、米軍兵に乱暴されて村から家出したことから、浜田を追って大阪に行く。河内のような田舎に米兵が来るかと思うが、八尾には飛行場もあったので、ありうることだったのか。
大阪のミナミに闇市があり、そこは大いに賑わっていて、そこでパンパンになりかかっている浜田を見つける。万里昌代らの女を集めているのは、田宮二郎で、2作目で死んだモートルの貞の弟で、パングリッシュを使うキザな男だが、まさに田宮に適役。
              すぐに二人は意気投合して、闇市で大活躍する。田宮は、巧妙に組織を作り、女たちから得た金を土地の所有者と称する沢村昌之助に送り、土地の一部を自分のものにして楽天地を作ろうと計画している。する勝は、戦場で得た経験から、雑炊屋を始めて繁盛する。そこで、昔仲間だった須賀不二男に再会すると、彼は建築屋になっている。闇市は、伊達三郎ら三国人の不法占拠だったので、沢村と須賀は屋台を壊して自分たちのものにしようと男を集めて殴り込んでくる。勝新太郎と田宮二郎は、闇市の連中を総動員して戦い、沢村らと引き分けに持ち込み、5年間の猶予を勝ち取る。勝は、浜田と一緒になって八尾の戻ることにする。勝は浜田に言う、「日本も、お前もひどいことになったが、これからぼちぼちやっていくだけだ」これは、監督の森一生や脚本の依田義賢ら、戦争の惨禍にあった者達の本音だと思う。1962年と言えば、今日でみれば高度経済成長が始まった時期だが、当時はそんなことになるとは皆思っていなかったのだ。日本映画専門チャンネル

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