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Channel: 指田文夫の「さすらい日乗」
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『エデンの海』

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1950年、松竹京都で作られた鶴田浩二主演の学園もの。

広島の女学校の生物の教師に鶴田が赴任してくる。

そこにジャワ生まれの野生児の藤田泰子がいて、学内の問題になっている。

新進の教員の鶴田は、新しい教育方針で臨み、生徒からは人気になるが、保守的な教員(毛利菊枝や高橋豊子という名優が面白い)には顰蹙をかう。

遠泳大会や水着の藤田と馬に相乗りして町を走る等があり、鶴田は学内の批難に耐えられず、東京に行くことにするが、藤田を愛していることも告白する。

生徒と教師の恋愛は許されるか、というテーマがもう古臭くて、見ると非常に滑稽である。

日活での高橋英樹と和泉雅子とのリメイク版では、監督の西河克己は、それを上手く処理していたように思う。

中村登の方がまじめに恋愛問題を考えているだけに、その分滑稽である。

もちろん、時代が変化した性だが。

                           

女主人公の藤田泰子は、ダンサーだったそうで、演技は下手だが、顔は、兼高かおるや真理明美に似た感じで西欧的である。

後に鶴田浩二と結婚する中尾照子が女学生で出ていたらしいがわからず。

何しろフィルムがひどくて、映像はほとんどピンボケ、台詞の半分以上は聞こえないというものだったのだから。

因みに「エデンの海」とは、聖書のエデンの園のように飾り気もなく自然な人間でいられたら、とのことらしい。

人間が自然に生きられるなとということはありえないのだが、戦後民主主義のこの時代には信じられたのだろうか、少なくとも脚本の植草圭之助は信じていたように思えるが。

根本的な誤解であることは言うまでもない。

衛星劇場

 


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