『銀蝶・渡り鳥』

日活がポルノになって出た梶芽衣子の東映作品。梶芽衣子とは、妙な名だなと思った。元は大田雅子で、マキノ雅弘が「オカチメンコ、オカチメンコ、カジメイコ」から名付けたと言うが、本来美人の大田雅子にひどいではないかと思う。
　　　　　　　　　　　　　
銀蝶とは、銀座の蝶、つまりホステスで、栃木刑務所から出た梶が、銀座で渡瀬恒彦にスカウトされてクラブのホステスになる。ママは、小山明子とは結構な配役。東映には、「夜の青春シリーズ」があり、梅宮辰夫や大原麗子が活躍したが、日活にも小林旭主演の「女の警察シリーズ」があり、両方を混ぜたような作品になっている。ここでの女の警察的存在は、渡瀬とその兄貴分の梅宮辰夫である。銀座の悪のボスが南原宏治でこれも適役。
梶はビリヤードが上手く、そのビリヤード屋の店主が清水元とこれも適役。南原の奸計で、小山は店を取られそうになり、ビリヤードの戦いで決めることになる。ここは少々分りにくいが、上手く描写している。梶が勝っても南原は、トランプ大統領のように負けを認めず、最後は梅宮が殺されたことから、梶と渡瀬は南原の会社に殴り込みに行き、全員殺して終わり。
梶芽衣子は、美人だが『野良猫ロックシリーズ」以外に決定打のなかった女優だが、東映での「サソリシリーズ」、東京映画での「修羅雪姫」がヒットする。だが、一番良かったのは』渡瀬との東映の『ジーンズブルース・明日なき無頼派』だったと思う。また、『仁義なき戦い・広島死闘編』での二人の男の板挟みになる不幸な女も良かったと私は思う。