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Channel: 指田文夫の「さすらい日乗」
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『乾杯!東京娘』

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1952年の大映作品、この頃までは、まだ東京や銀座と言った文句が全国に意味があったのだろう。主人公は、宮城野由美子で、もう知っている人も少ないだろうが、宝塚時代から結構人気があり、ルックスで言えば、八千草薫をもう少し庶民的にした感じである。監督は木村恵吾。
            
東京の南青山の質屋から始まる。親父の菅井一郎が、値付けをしているが、奥から娘の宮城野が現れて、どんどん値切ってしまうとすぐに姿を消す。と、隣の医院に現れて、女医として患者を診察すると、また着替えて放送局に行き、歌を歌う。テレビに、女医でタレントというのがいるが、その先駆けであろうか。この才女ぶりには、賛否があり、「生意気」との評もある。忙しいので、代診を募集すると、青山の下町の長屋に住む三田隆が応募してきて合格する。下宿の大家は浦辺久米子、娘は香川京子で、彼女は非常に大人しく女性らしい。だが、ラジオの「のど自慢」に出て、『乾杯!東京娘』を歌って合格する。米山正夫作で『銀座カンカン娘』に似た感じで、失礼ながら、香川の歌はあまり上手くはない。司会は、もちろん、宮田輝で若い。宮城野と三田はケンカばかりしているが、事故で倒れた患者への輸血で男気を示した三田に、宮城野は惹かれるようになる。だが、それを口に出せず、三田とは言い争いをしたり、キャバレーで遊んだりしている。ダンサーで、NDTの清水秀男らが出ているのは貴重。
最後、父の勧める見合いするが、やはり三田を忘れられない宮城野は、三田の下宿に行くと、三田は「結婚することにした」と言うが、当然にも香川京子。宮城野は、前に三田が持ち込んだ洋書の利子分として「キス」をして下宿を去って行く。それは浦辺が病気になったとき、三田が質草に持ち込んだもので、浦辺の枕元で、 病平癒の「踊る宗教」が踊るのは笑えたが。大柄で茫洋とした三田は、いつも下手だと思って来たが、ここでは悪くない。彼は、国木田独歩の息子とのことで、映画『午前中の時間割』の国木田アコちゃんの父親とは!原作は新派に多くの劇を書いた中野実で、商業演劇のつねで、金持ちと庶民は一緒にはならないという思想である。日本映画専門チャンネル

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