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Channel: 指田文夫の「さすらい日乗」
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『瀬戸はよいとこ・花嫁観光船』

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1976年の松竹映画、この頃の大船について小林久三は次のように書いている。大島渚らのヌーベルバーグが去った後、大船には合理化で京都撮影所の監督が来て、関西風の喜劇を作るようになる。酒井欣也、市村泰一、そして森崎東らである。だが、それも厭きられて、次は新東宝の渡辺祐介や瀬川昌治らがきて、活躍するようになる。この映画の監督は元新東宝の瀬川である。以前、新人監督映画祭で会ったスタッフに聞くと、瀬川監督の評価は非常に高く、合理的で頭のよい人だったとのこと。非常に誤解されているが、もともと新東宝は、東宝から生まれた会社で、文芸映画が本来で、末期の大蔵貢時代のエロ・グロ路線は、できたときの新東宝ではなかったのだ。渡辺も、瀬川も東大卒であり、それでも発足当初の新東宝が高く評価されていたかが分かるだろう。
            

四国と本州に連絡橋が建設されることになっているが、明石の観光船の船長が財津一郎、妻は日色ともえ、元は漫才師で今はパチンコ屋をやっているのがフランキー堺と朝丘雪路、塾の長が万葉集の研究家を自称する山城新伍で事務員が田坂都。日色ともえは、朝丘の妹で、元は財津の船のガイドだった。ここで、日色、田坂、さらにフランキーの娘で観光ガイドをやっている村治弘美らは、環境破壊とのことで本四架橋反対の運動をやっていて、山城がリーダーにされている。逆に、フランキーと朝丘は、架橋建設に便乗してホテルを作ろうとしていて、この二つが対立していく。しかも、ホテル予定地の地主は山城なのだ。だが、山城は国文学の研究、フランキーは金魚収集家の集会と称して、神戸のストリップ劇場に行き、春川ますみらのショーを鑑賞して、互いを知らないままに知り合いになる。この中で、夏休みで帰郷してきた学生で山城の弟が夏祐介。この対立と神戸へのストりップ行きの件で、財津、フランキー堺夫婦が共に大喧嘩になり、日色は朝丘の家に行き、フランキー堺と山城は、財津の家に居候することになる。マメな財津は、居候の二人に料理、洗濯をしてやるが、次第に不満がたまる。行き詰まりの中で、夏と村治は相談して、男たちと女たちを阿波踊りに連れて行くことにする。踊りの行列を見ている中で、男女とも踊りに参加して、ついには打ち解け合う。そして、全員でホテルで歓楽しているところに、春川らが現れて再び喧嘩となり、女は帰るとホテルを後にするが、帰りの便はない。そこで、財津の観光船に乗るが、嵐が来て、小船は翻弄される。財津らも心配して探すと、観光船に乗っていることが分かり、財津はモーターボートで追いつき、乗り込んで無事船を操縦する。最後は、フランキー堺と朝丘、財津と日色、山城と田坂が観光船で結婚式を挙げて終わる。
           
いずれ、夏と村治も一緒になることを示唆して終わるが、村治は20代すぐに結婚して引退したので、貴重な映画。衛星劇場





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