日本の映画界に、「サツ、ショウ、ロク」と言う言葉がある。これは、撮影部、照明部、録音部のことで、制作部や演出部が第一に気を配らないといけない部署のことだ。撮影、照明、録音が動かないと映画は出来ないのだから当然だが。また、これは映画ができた順番でもある。まずは、野外で太陽光の下で映画撮影は始められた。ルミエール兄弟の映像等がそうだ。それが、夜間や室内で撮影されるようになって照明が必要になる。そして、1930年代に映画に音を付けるようになって録音部ができる。録音は、レコードでもエジソン式蝋管録音が最初だったように、この蝋管で音を録音し、映像と同期させるものができる。次に、ベルリーナの円盤式レコードができ、これの方がせんべいのようにプレスで大量に作れるので、円盤式レコードになり、これに映像を合わせるものになる。ただし、レコードは映像と同期させるのが大変で、その上針飛びしてしまうとやり直し不能になので、フィルムに音の記録を焼き付けるサウンド・トラック方式ができる。ワーナー・ブラザースの『ジャズ・シンガー』が本格的1作目だが、日本では松竹の『マダムと女房』が最初である。松竹は、米国の特許を買うのを嫌って、大阪松竹座のバンドマンで、オーディオ・マニアだった土橋氏が開発した「土橋式トーキー」で日本最初のトーキー映画に成功する。別に松竹では、茂原という小津安二郎の友達のカメラマンが開発に成功し、「茂原式」で傍系の新興キネマで採用する。日活は、ウエスタン・トーキーを採用し、PCLは自社開発のトーキーで映画制作に乗り出す。PCL式は、今日で見れば特許違反だったという説もあるが、日活と並び音は鮮明だった。
さて、トーキー映画ができると、台詞の他、現実音、効果音などが映像に付けられ、より効果的で、感動的な映画になる。多くのサウンド・エンジニアの証言が出てきて非常に面白いが、ほとんど職人技の世界であることが興味深い。『トップガン』の戦闘機の音は、猛獣の声が重ねられているとは知らなかった。また、キューブリックの超大作『スパルタカス』の戦闘シーンの槍や盾の音は、スタッフが持っていた鍵の音だとは。さらに、フォーレイというのは、マット・ペインティングのような絵のことと思っていたら、全く別の物を使って本物のような音響を出すことだと初めて知った。日本で言えば、音響効果、音効である。
あるスタッフが、ジョン・ケージやイギリスの1950年代末のミュージック・コンクレートを気に入り採用した証言もある。日本の武満徹がやっていたことに完全に時代的に同期していたわけだ。最後は、ルーカスとコッポラの自慢話になってしまうのが嫌だったが。黄金町シネマベティ
さて、トーキー映画ができると、台詞の他、現実音、効果音などが映像に付けられ、より効果的で、感動的な映画になる。多くのサウンド・エンジニアの証言が出てきて非常に面白いが、ほとんど職人技の世界であることが興味深い。『トップガン』の戦闘機の音は、猛獣の声が重ねられているとは知らなかった。また、キューブリックの超大作『スパルタカス』の戦闘シーンの槍や盾の音は、スタッフが持っていた鍵の音だとは。さらに、フォーレイというのは、マット・ペインティングのような絵のことと思っていたら、全く別の物を使って本物のような音響を出すことだと初めて知った。日本で言えば、音響効果、音効である。
あるスタッフが、ジョン・ケージやイギリスの1950年代末のミュージック・コンクレートを気に入り採用した証言もある。日本の武満徹がやっていたことに完全に時代的に同期していたわけだ。最後は、ルーカスとコッポラの自慢話になってしまうのが嫌だったが。黄金町シネマベティ