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Channel: 指田文夫の「さすらい日乗」
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『夜霧の決闘』

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監督の井上梅次については、早稲田の映研に入ったとき、金子裕君が、「井上は、もう古いんじゃないの」と言っていて、その通りだと思い見なかった。だが、あるときシネマジャックで見て、結構凄いじゃないかと思い直すようになった。ただ、手つきが見えると言うか、「どうだ面白いだろう」と言っていいるようで、馬鹿にされるみたいで、そこがいやである。これは、1960年に宝塚映画で作られたもので、小さな宝塚撮影所でよく作ったものだと感心する。同スタジオ周囲には、かつては遊園地などもあったが、今は全くなく、大型バスの駐車場、さらにホテルになっている。それだけ、宝塚歌劇団の存在が大きくなったから故だろうか。
東京港の倉庫で、麻薬の取引が行われるが、それが第三者に襲われて、主人公の鶴田浩二も頭に銃を受けて、海に逃げ落ちる。その前に、船上レストランでパーティが行われていて、鶴田がトランペットを吹くシーンがあり、そのメロディが最後までの鍵になっている。メロディで、自己の過去を思い出すというのは、長谷川伸の設定で、そのいただきだと思う。警察病院に入院している鶴田は、銃撃のせいで過去をすべて忘れている。頭を打たれて記憶喪失とは信じがたいが、まあいいだろう。警視庁の取り調べも受けるが、思い出せない。ただ、背広が神戸の店のものだったので、警察も神戸の男とし、鶴田も神戸に行き、埠頭に着くと、謎の女淡路恵子がいて、彼女と一緒に内防波堤等を歩き、記憶にあることを鶴田は思い出す。そして、誘われるままに、淡路のバーにいることになる。実は、淡路は神戸の刑事内田朝雄の知り合いで、彼の仕組んだ罠で、淡路のところに置かせたのだ。そこに東京からの刑事連中も来る。さらに、殺し屋と名乗る三橋達也も来る。鶴田は、神戸も組に関係していたことが分かるが、組長は小林重四郎で、子分は丹波哲郎と高松英郎。この小林、丹波、高松となると非常にクセのある面構えの役者で、要は井上は、個性的な俳優を使うことが好きなのだ。小林の娘が、雪村いずみで、かつては鶴田と恋仲で、今はモデルとして活躍し、ヤクザの父を嫌って家出している。雪村は、今は神戸一郎と恋仲で、彼は鶴田が記憶していた歌を知っているので聞くと、雪村から教えられたと言う。神戸は、高倉健をキザにしたような顔で、玄人くさい顔で、高倉のような自然さがなく、気持ちが悪い感じだ。雪村に聞くと、鶴田が教えてくれたのだといい、鶴田は戦前は上海にいて、バンドマンだったのだ。戦犯に問われるのを森雅之が救ってあげ、日本に戻ってきて、神戸の組の一員になったのだそうだ。結構複雑な構造で、鶴田浩二が苦悩するので、見ている方もよく分からなくなるが、そう込み入った話ではない。そして、見込み通り三橋達也は、厚生省麻薬取締官で、悪のボスは森雅之で、冒頭で麻薬取引を襲ったのは、小林に反逆使用とした丹波と高松であることも分かる。森雅之の秘書として元宝塚の環三千代がが出ているがノー台詞。衛星劇場

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