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Channel: 指田文夫の「さすらい日乗」
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『黒い太陽』

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菅義偉官房長官の自民党総裁勝利のニュースなど見ても仕方ないので、蔵原、山田、川地のジャズ映画を見る。1964年で、このころはまだ日本ではジャズ・ブームだった。7月には、「世界ジャズ・フェスティバル」が行われ、なんとマイルスが初来日した。厚生年金会館ホールで公演し、高校2年の私も見に行った。この様子は、『マイルス・イン・トーキョー』としてLP化され、1960年代にジャズ喫茶に行くと、一日1回はかけられたものだ。    ここでも、川地は、渋谷のチンピラで、せこい窃盗をして生きている。恋人の千代郁子は、やはり外人相手のパンパンである。川地は、桜ケ丘に住んでいて、そこは廃屋の教会で、外観は実際に建てられたようだ。ある日戻ると、喧嘩で人を殺した黒人兵のチコ・ローランドが潜んでいる。川地は、黒人ジャズが好きなので、「ア・イ・ラブ・ユー」と言うが、互いに理解しえない。『狂熱の季節』でも、川地は「黒人ジャズが最高で、白人が盗み、日本人がまねしている」と言っている。ジャズ、イコール、黒人と言うのは当時の理解だが、まあそんな程度だったろう。音楽は黛敏郎だが、マックス・ローチらが本当に来て演奏している!日活も金があったのだなと思う。川地は犬を飼っていて、誤ってチコに撲殺され、それをジャズ喫茶・デュエットで「モンクが死んだ!」と叫ぶと、「セロニアス・モンクが死んだの?」と大騒ぎになるのが、そこがただ一つ笑えるシーン。川地は、盗んだ外車の代わりに、廃車屋の大滝秀治から借りたオープン・カーにチコを乗せ、道玄坂商店街の宣伝で渋谷を流す。チコは白塗りで、川地は黒塗りにしている。
二人は、対立と和解を繰り返すが、最後、夢の島でチコが歌うのを聞き、本当に川地はチコが好きになり、海に逃がしてやろうと思うが、警察と米軍のMPに包囲される。チコは、アドバルーンに巻き上げられ、川地はMPらに逮捕される。君が代の黛敏郎は、戦後は米軍基地やダンス・バンドでジャズ・ピアノを弾いていたとのことで、音楽は非常に良い。この映画の企画は大塚和で、この人は本当に範囲が広い。


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