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Channel: 指田文夫の「さすらい日乗」
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『引っ越し大名』

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「これが時代劇か」と思う人もいるだろう。
だが、もともと時代劇は日本の伝統ではなく、サイレント映画末期の傾向映画が、当局から取締られた際に、
「これは現在のことではありません、江戸時代のことです」と言い訳するために作られた作品群だったからで、別に日本の伝統でも何でもない。
悪徳商人は、当時の資本家のことで、悪代官は特高警察のことなのだ。全体を蓋う反逆的ムードは、反体制的思想そのものである。
これは、同時に江戸時代の歌舞伎の作劇法から来たものだと思う。
徳川幕府は、同時代の大事件を劇化することを禁じていたので、『忠臣蔵』も、室町時代のことにされている。

              

さて、この劇では、姫路の松平藩が、日田への国替えを命じられる。
理由は、藩主が江戸城で、柳沢吉保からの「寵愛」を断ったからで、この修道は普通のことだったが、これが本当かどうかは不明。
そして、藩では文書庫に引きこもっていたの星野源が、引っ越し担当になる。
彼は、過去の文献、さらに下級武士で国替えをやっていた男の娘の高畑充希から、父親が残しておいた書類をもらって引っ越しを行っていく。
ここで興味深いのは、上級武士の持っている骨董品を捨てさせることで、元禄時代から骨董趣味は広くあったのだ。
いずれにしても、江戸時代には武士は地方公務員化していたわけである。
また、文書主義ができていたわけであり、この間の安倍政権が壊した、国の文書管理のひどさには呆れるしかないだろう。
さらに、分かるのは、江戸時代の日本が、軍事を除けば、西洋と同等の高度に発達した社会だったことである。
また、国替えの際に、姫路に置かれて百姓になった小沢征羅たちが、農民として自立することも描かれるが、江戸時代は意外にも階級移動があったことも分かる。

衛星劇場

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