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Channel: 指田文夫の「さすらい日乗」
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『愛ってなんだろう』

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1973年の松竹映画、天地真理と森田健作の青春映画、前に取っていたのを見る。
当時、大人気の天地真理の映画で、彼女は玩具会社のデザイナー、そこに企画部員として森田が入ってくる。
天地の家は、ケーキ屋で祖母は、賀原夏子で、叔父さんが田中邦衛で、天地の両親はいないようだ。
ある日、新入部員の森田の歓迎会が開かれて、歌になるが、森田は歌うことを強く拒否する。
女性社員で、伊豆にサイクリングに行き、一人がケガをしたことから近所の保育園に連れて行くと、そこに森田がいて驚く。
会社から新製品の企画の命令が来て、森田と天地は、道祖神を基にしたデザインの玩具を考え、上司福田豊土は理解しないが、社長には採用される。
だが、自分の企画が駄目になったと思い込んで、森田は社から失踪してしまう。
そこで、天地らは、森田が天地に送った歌をテレビで歌えば、気が付くのではと思う。
森田は、元はジャズピアニストだったが、自分の運転ミスで恋人を死なせてしまい、そこから音楽を捨てたのだ。
このテレビを使う筋書きは、当時の映画によく出てくるもので、当時の映画人のテレビの「威力」への恐れのようなものを感じる。
最後は、もちろん、森田は見つかるが、それは伊豆の保育園で、森田は、そこの園長の小鹿ミキと一緒にやっていくことを言う。
小鹿は、森田が死なせてしまった恋人の妹なのだ。
天地は、「愛ってなんだろう」と思ってエンド。

監督の広瀬襄は、藤田敏八の『非行少年・陽の出の叫び』の脚本を書いた人で、前に広瀬の『青春の構図』を見た時、随分と違うなと思ったものだ。
こうしたアイドル映画を作るしかなかった広瀬さんは、もとは大島や吉田らの「松竹ヌーベルバーグ」作品に憧れて松竹大船に入ったそうだ。
前に小津安二郎ネットワークでお会いした田中康義さんも、西条秀樹の映画で監督デビューしたのだから、「当時の大船の監督は大変だったのだな」とあらためて同情した。

衛星劇場



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