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Channel: 指田文夫の「さすらい日乗」
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横浜港の2本 『紅の流れ星』『唐手三四郎』

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一昨日、昨日と、横浜港が背景の映画を見た。
『紅の流れ星』は,神戸港ではないかと思われるかもしれないが、神戸港とタイトルの出る桟橋の近くでロッキングチェアーで昼寝する渡哲也のシーンから、明らかに横浜の大桟橋である。
その他、この名作のほとんどは、神戸ではなく、横浜で撮影されたもので、その極めつけは、渡と浅丘ルリ子が乗るジェットコースターは、浅草の花屋敷である。その他、渡が浅丘を連れまわして立ち話する、石井富子との元赤線は真金町で、榎木兵衛との中華街は、横浜の中華街の裏だと思う。
おそらく、神戸で撮ったのは、渡とルリ子が歩く三宮付近の大きな道路やラストの大橋を渡ってたどりつく上屋と埠頭に停泊している貨物線が見える場所くらいではないかと思う。
ルリ子の元恋人だった山田真二の死体を見る兵庫の医務院に入る道も、横浜の山下町あたりにあった道のように思う。
いずれにしても、この台詞が最高の名作は、日活アクション映画の頂点だったと思うが、その裏では製作費の不足という事情も進行していたのだと思う。実際に神戸に行ったのは、渡哲也、浅丘ルリ子、藤竜也などの本の少数で、他の人物はそれらしい横浜で済ませたというのが実情だと思う。


                   
さて、昨日は1951年の新東宝映画『唐手三四郎』を見た。これは兒井プロ作品なので、最初のタイトルはない。
東京の唐手の道場で若者が稽古をしていて、師範は藤田進、高弟は岡田英次と川喜多雄二、もう一人女性で香川京子もいる。
藤田、岡田、川喜多は沖縄の人間で、岡田と川喜多が下宿している家の娘大谷玲子が、二人にケーキを持ってくるが、岡田は全部食べてしまい、二人の仲を川喜多は嫉妬する。喜多川は、道場で岡田に果たしあいを挑み、逆 に岡田の技に負傷させられて入院してしまう。
東都大学生の岡田はアルバイトをし、そこは日東倉庫内国貿易倉庫で、横浜港の今はない高島埠頭である。
責任者の清水将夫は言う、「あれは10日後に沖縄に行く船だ」
沖縄は、戦後はアメリカの下にあったが、一応国内航路だったのか。当時は、朝鮮戦争の最中で、遠くに見える三菱重工横浜事業所では、造船が活発に行われいるように見える。高島埠頭は、戦前に国内航路用に作られた埠頭で、戦後は横浜の内国用として頻繁に使われていたが、みなとみらいの開発で取り込まれ、今はなく、臨港パーク付近になる。
この東都大学というのは、あるいは早稲田大学のことかもしれない。というのも、私が早稲田に入学した頃の総長は大浜信泉で、この人は沖縄の出身だったので、早稲田には沖縄の人や、国内でも川崎などの沖縄系の学生が多かった。
清水は、昼は港湾荷役業をやっているが、夜は密輸をやっていて、それを「アルバイトとして手伝え」と言われ、岡田は断る。
その会社には、用心棒で月形龍之介がいて、彼は毎日沖縄料理屋で飲んでつぶれているが、元は唐手家なのだ。そして、彼は伝説的な名人で、なんと藤田進のライバルで、月形は藤田との戦いで左手を折られて片腕になったことを知る。月形と岡田は決闘になり、初めは高島埠頭の中ででやっているが、すぐに防波堤上になるのには驚く。ここに行くには船に乗らないといけないからだ、映画なので許せる。
最後、清水のところに警察が来て、密貿易を取り締まるところで終わりだが、なんとそこには香川京子の姿も。なんと彼女は女性警官だったのだ。
沖縄の舞踏家として浜田百合子がでていたが、新東宝では珍しいと思う。

衛星劇場

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