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Channel: 指田文夫の「さすらい日乗」
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『華麗なる闘い』

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1969年、内藤洋子主演、岸恵子との女の戦いをえがく作品。
同年9月、蒲田ロキシ―で、加山雄三主演の『弾痕』と二本立てで見ているが、 内藤洋子ファンとしては、彼女ばかり見ていて作品の中身はほとんど見ていなかった。今回見て、結構いい映画だと思った。



原作は、有吉佐和子の『仮縫』で、脚本は大野靖子、監督は浅野正雄。
服飾学園の女子大生だった内藤が、岸恵子に見出されてのオートクチュール「パルファン」の館にいく。
豪壮な館で、造作はしているが、昔の赤坂プリンスホテルの別館、元旧李王家邸宅だろうと思う。
玄関を開けてもらうと因業な婆さんが出てきて、岸輝子、さらに服飾学園の院長は長岡輝子となかなかの配役。
彼女は、実は岸の母親で、岸の弟は田村正和。
内藤洋子は、いろいろな作業、お客との対応等を岸から学ばされるが、要は客の自尊心をくすぐってより高いものを売る商売。
そして、岸のパトロンの画商の神山繁と知り合う。
彼は、次第に内藤を可愛がり援助することになり、ここでは入浴シーンもあり、当時ここが最大の売物だった。
彼女は、田村から求婚されるが、断る。軟弱な田村は目じゃないのだ。
岸は、突然内藤にすべての仕事を任せてパリにいく。
田村は言う、「借金から逃げ出してパリに行ったのだ」
内藤は、デパートでの自分のファッションショーに全力を傾ける。
そして、ショーの数日前に岸恵子が突然戻ってきて、彼女の作品と一緒に見せることになる。
華麗なる闘いである。

内藤のは当時の普通のショーで最後はウエディングドレスで終わると、パリ仕込みの岸のショーが始まる。
それは、モデルがしゃなりしゃなりと歩くものではなく、4ビートで踊るものだった。
「イエ、イエ」ダンスであり、当時では最新のものだった。
ショーの出来栄えは、明らかに岸恵子の方が上で、彼女の勝となる。
「大人ってすごいな・・・」と内藤洋子は負けを認めて会場の三越を去る。
だが、タイトルが出る「まだ、私は仮縫がすぎたばかりだ・・・」
この台詞は、まるで大映の増村保造・渥美マリの作品のみたいで、「これはいいぞ!」と内藤には大いに期待したものだ。
だが、翌年、彼女は結婚して引退してしまう。
まことに残念なことであった。

日本映画専門チャンネル

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