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Channel: 指田文夫の「さすらい日乗」
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維新の会、10年

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日本維新の会ができて10年たったそうだ。
もう10年も経ったのかと思うが、結局何ができたのか、私は非常に疑問に思う。



地方自治体だが、横浜市の市議会職員として10年以上も議会と議員を見てきた者として、維新の会のような議員連中が出てくる理由はよくわかる。
と同時に、維新の出現で、かつての自民党が持っていた保守の良さがなくなって来たと思う。
小泉純一郎政権ができて以前の自民党が持っていたものの本質は、簡単に言えば「金持ち喧嘩せず」で、政権側にケンカを売るのは野党側だった。
地方の資産家、元官僚等の成功者からなる昔の自民党は、無理やりことはせず、野党が反対すれば、すぐに政策を引っ込めるか修正するものだった。
元首相の竹下登は言っていた。
「昔の自民党は楽だった。野党が言ってくる政策を、今はまだ早いと、2、3年後に政策化すればよかったが、今はそうはいかない」
小泉政権の新自由主義的政策は、これに対して「金持ちがケンカを売る」ものに転換した。
この転換をさらに進めたのが、維新の会で、その気持ちも分かる。
それは、地方にしても、国にしても政策決定が進まないからで、即断即決をすべきという気分が自民党の若手に出てきたからだ。
だが、それは誤解で、民主主義には時間が掛るわけで、民間企業の方針決定とは違うのである。
なぜなら、企業は株主に責任を持てばよいが、公共は、一応すべての市民、国民に責任を持たねばならず、そのための政策決定には時間が必要だからだ。
橋下らが、二言目にいう、スピードが重要は、公共である国や地方には当てはまらないからだ。
その理由は、簡単に言えば、国民と市民にとって、他の国や自治体を選択することはできないからである。
例えば、テレビで言えば、NHKか日本テレビか、TBS、フジテレビか、テレビ朝日、テレビ東京かという選択はある。
だが、日本にするか、第二日本政府にするか、新日本政府にするかという選択はあり得ず、第二大阪市もない。
だからこそ、政治には時間が掛って良いのだと私は思うのだ。
海外との競争があるではないかとの意見があるだろうが、海外との競争は、現在のコロナウイルス騒ぎで、今後はむしろ問題ではなくなるのだろうと思う。
海外との競争のない分野、福祉、衛生、教育、文化等の分野に投資することが今後の重要な政策になるはずだ。
大阪の反東京意識は、豊臣秀頼の大坂の陣で徳川家康に負けて以来のもので、大阪・関西が、東京を凌駕したのは、近代史では関東大震災以後の昭和初期しかなかった。
この時期には、経済の中心が東京から大阪に移り、ジャズ、映画、文学等でも関西が日本の発信源となったのである。
だが、昭和10年代以降の日本の戦時体制下の軍需経済の進行の中で、産業の中心は、再び東京に戻ってしまい、以後大阪は後退することになったのだ。
橋下らが言うように、大阪都を作ったところで、簡単に回復するものではないのである。

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