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Channel: 指田文夫の「さすらい日乗」
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NHKBS『全貌2.26事件 機密文書で迫る』

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昨日、2月26日は、84年前に「2.26事件」が起きた日である。
歴史家の秦郁彦先生は、「2.26事件産業がある」といっておられたが、近年はさすがになかったが、これは海軍軍令部員の、後には海軍少将となる富岡定俊が記録し、保存していたものだ。
現在なら、公文書として公開されるべきものだが、逆に家に持ち帰ってしまったので、敗戦時の焼却を免れた貴重な資料である。
全体として、特に新しい事項はないが、26日の朝から、海軍がすぐに私服姿で現場を監視させ、九段の戒厳令本部にも人を派遣していたことくらいだろうか。
再放送で、昨年8月15日に放送されたものだが、この日私は、友人と野毛で飲んでいて見ていなかった。



この日本の近代史唯一のクーデターの趣旨は、昭和天皇の側近は、日本主義に反する「君側の奸」ばかりで、これを取り除いて天皇親政の軍事政権を樹立しようとするものだったが、完全に天皇の意思と逆だったのだから、実に悲劇的だった。
昭和天皇は、西欧的な政治、社会、文化の体制を希望していたのだから、それはまさに天皇の意思に反するものだった。
これは、明治の帝国憲法の持つ矛盾、つまり近代的な国家を目指していながら、統帥権に代表されるように、封建的な軍事独裁制を内包していたのだ。
軍人や多くの国民は、この前近代的な部分が天皇の本質と意思だと思っていて、それは反乱軍も同じだった。
勿論、戦後とは異なり、天皇の意思や実像は見えなくされていたのだから、「天皇機関説事件」でも分かるように、天皇は国民から見えない存在にされていた。
この事件で一番重要なことは、その真相ではなく、本当はその後の日本の政治への影響の方である。
やはり、軍隊、特にこの場合は、陸軍皇道派に逆らえば、実際に襲撃を受け銃殺されてしまうかもしれないという恐怖を、多くの政治家や重臣に与えたのだ。
やはり、シビリアンコントロールは、重大なことなのである。

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