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Channel: 指田文夫の「さすらい日乗」
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渡哲也2本

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神保町シアターに行き、渡哲也映画を2本見る。『赤いグラス』と『あばれ騎士道』
『赤いグラス』は、1967年に蒲田パレス座で鈴木清順監督の『刺青一代』、井田探監督の『東海遊侠伝』の2本と3本立てで見たことがあり、あまり面白い記憶がなかったが、やはり駄目だった。
監督は一部で評価の高い中平康だが、私はそれほど良いとは思っていないが、この時期は本当にひどかった。
これが日活での最後になるのだが、非常に暗い作品であり、渡の相手役に小林哲子が出ているのが珍しいことくらいだろう。
小林は大柄な美人で、東宝の『海底軍艦』では、ムー帝国の女王を演じているが、若くして亡くなったようだ。

            

1965年の『あばれ騎士道』は、渡哲也のデビュー作で、宍戸錠の弟を演じる。二人はレーサーだが、車ではなくオートバイであることが時代である。
外国から宍戸とマネージャーの本郷淳が羽田空港に戻ってくる。
宍戸は、海外のレースで大金を稼いだので、日本ではレースに出る気はなかったが、スリに擦られたのでレースに出ることになる。
レースが行われるのは、大井オートレース場で、この時期はレース場があったのだが、壊されて今は駐車場になっている。

宍戸は、レースに不正がたくまれていることを知り、その若いレーサーに教えて上げるが、彼が渡哲也で、優勝する。
宍戸は父親の家に行くと渡がいて、二人は兄弟であることが分かる。と同時に兄弟の父の刑事が事故死していることを知る。
彼は、釣りに出て遭難したのだが、実は密輸船の捜査をしていたのだ。
密輸グループの親玉は、香港から来た二本柳寛で、日本での手下は、郷暎治、小高雄二らで、郷はホテル、小高はクラブを経営しているが、その上がりを二本柳に報告している。
二本柳が、「ホテルは、ボーリング場は?」と聞くので、思わず「映画は?」と聞くのではとみえたように、まるで日活の社長の堀久作のことのように思えた。
もちろん、宍戸と渡、さらに若手オートバイ連中の活躍で、二本柳、郷、小高らの悪事は暴かれ、悪は滅んで終わる。
中国人のダンサーで水谷良江、渡の恋人で松原千枝子、小高の愛人で東恵美子が出ていた。

監督は小杉勇で、音楽は勿論小杉太一郎。
言うまでもなく小杉勇は、名優だったが、映画監督するのが長い願望で、日活で叶えられたので、うれしくて仕方なく、
そのために「現場は非常に楽しかった」と白鳥あかねの本にあったが、そうした楽しさが感じられる作品だった。
対して、中平の現場は暗くてつまらなかっただろうと想像できた。

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