NHKの『盤上のアルファ』を4回分見た。
主役は、玉木宏、上地雄輔らの若手だが、師匠の近藤、正体不明のヤクザ的な男の石橋が劇を支えていて、劇は脇役が重要ということがよくわかる。
この二人は、京都と東京と離れていても、東映の作品によく出ていた。
近藤正臣を最初に見たのは、今村昌平の日活作品『「エロ事師たち」より人類学入門』の小沢昭一の息子役だった。東映では加藤泰の『懲役18年』で、安藤昇の恋人桜町弘子の弟で、看守の若山富三郎に徹底的に虐められる青年だった。
どちらも関西での作品で、もともと近藤は地元の京都で芝居をやっていたのである。
一方、石橋は、児童劇団にいたこともあるようだが、劇団青年俳優座にいて、東映東京の「夜の青春シリーズ」などに出ていた。
これは、梅宮辰夫をリーダーに、石橋、谷隼人、大原麗子、城野ゆきなどのチンピラ俳優が出ていた添え物の二流作品だった。
大原麗子が亡くなったとき、「昭和の大女優」と書かれていたが、「あのチンピラ女優が」と思ったものだ。
石橋は、蜷川幸雄、蟹江敬三らと共に、現代人劇場から桜社へと移り、アンダーグランド演劇の役者として輝いていた。
第七病棟での緑魔子との芝居は、本当に良かった。阿佐ヶ谷ラピュタに前の、今はスポーツクラブになっているオデオン座での1986年の『湯気の中のナウシカ』も未だに忘れられない劇だった。
今は、どちらもテレビ、映画の重鎮として活躍されているのは誠に喜ばしいと思う。