1967年に国映から公開された大和屋竺監督作品。
大和屋らしく、殺し屋の話で、港雄一と山本昌平、津崎公平らで、さらに麿赤児らも出ているようだが、どの役かよくわからない。
明確に分かるのは医者の山谷初男で、この人は当時と変わっていない。
実は、大和屋さんの最初の作品『裏切りの季節』は、本当なら見る機会があった。それは早稲田大学映画研究会の部長曽根益男さんからで、
「大和屋という元日活の助監督だった人が、ピンクで映画を撮ったので見にってやってくれ」という映画のチラシだった。
当時、ピンク映画にはあまり興味がなかったので行かなかったが、今考えると貴重な機会を逃したことになる。
まず、海岸線の長い崖が続く場所で、殺し屋と依頼人がいて、腕試しをして縦断を13発発射し、明らかにわざと野っ原に1本だけ立てた木を撃つと、木は半分に折れ倒れてしまう。
「こんなところに立っている木は珍しいんだぞ!」には大笑いした。
殺し屋は「犯し屋」の港雄一だが、若いので顔つきが違うのには驚く。山本や津崎らも、今とかなり風貌が異なる。
画面が過去と現在、想像と現実が交錯するので分かりにくいが、同時期の鈴木清順の『殺しの烙印』によく似ているシーンもあり、鈴木清順作品の脚本に大和屋が大きく寄与していることが分かる。
新宿らしいバーや旅館の一室での殺しのシーンでは、いきなりアクションが展開するので少々戸惑う。
幻想的なところや詩的な部分も大和屋らしい作品だろう。
新宿の東口には、まだ都電の停留所があったのだ。音楽は当然にも山下洋輔。
シネマヴェーラ渋谷