小津安二郎の晩年の作品『秋刀魚の味』『秋日和』『彼岸花』『お早う』が松竹とフィルムセンターのデジタル技術で修復され、映画館でも上映されるそうだ。
それはそれで大変結構なことだが、松竹にはもっと他にやるべきことがあるのではないか。
それは、戦前、戦時中に大ヒットした映画『愛染かつら』のきちんとした上映、発売である。
『愛染かつら』は、全部で4作作られたが、現在私たちが見られるのは、まるで素人がカッティングしたようなひどい編集の『総集編』だけである。
同作は、大ヒットで次々に作られ、最後は上原謙は、中国に行くのだそうだが、その戦意高揚性のためか、『総集編』ではまったく出てこない。
だが、戦意高揚映画は、松竹でも他にいくらでもあり、それが上映されているのに、大ヒット作品の『愛染かつら』が公開されないのはひどい。
戦時期に日本人は、一体同作のどこに感動し、泣いたのか是非見たいものだと思っている。
関係者のご理解をいただきたいものである。