2008年に製作された木村威夫の長編劇映画。日活芸術学院の学長を務めていた時のことを基にしているようだ。
木村の役の木室は長門裕之、妻は有馬稲子、元友人たちは宮沢りえと永瀬正敏となかなか豪華な配役だが、要はプライベートフィルムの一つである。晩年の黒澤明の映画もプライベートフィルムと言われることがあるが、これは黒澤よりも優越しているところが一つだけある。
それは、「カット尻」が短いことで、黒澤の晩年の作品がみなそれが長く、老人のくどさにしか見えなかったことだが、ここにはなくすぐ次のシーンに行く。
学院に来て修行するが精神を病み上手くいかず、熊本の故郷に帰郷して最後は自殺する若い男が出てくる。
スタジオでの木室の院長就任祝賀会で、戦前の木村の美術作品の一つの『夜のプラットフォーム』を歌うが、非常に上手いので驚くが、なんと井上芳雄だった。
彼の母親は桃井かおりだが、全体として宮沢りえの美しさが光る。
国立映画アーカイブ