今朝の新聞に古川卓巳が死んだと出ていて、101歳。
古川卓巳と言っても、誰も知らないだろうが、日活で『太陽の季節』を監督し、大ヒットさせた監督なのだ。
だが、彼はもともと大映多摩川に出身で、まじめな人だったらしく、石原慎太郎原作の小説をひどく真面目に文芸映画のように撮っていて、石原の持つ、風俗的な新しさをほとんど表現していない。
その意味では、日活が次に放った「太陽族映画」の『狂った果実』の方が、はるかに出来は良い。
その理由は、この映画の監督が松竹大船から来た中平康であったからである。松竹大船の基本は何かといえば、吉村公三郎が言っていたが、「風俗をきちんと描く」ということだからだったのである。
古川卓巳作品では、自身の戦争体験を生かした『人間魚雷出撃す』や『沖縄の民』などの真面目な戦争映画の方がはるかに評価できる。
晩年には、香港でもアクション映画を作ったこともあるようだ。
101歳とは、誠に見事で、ご冥福をお祈りする。