小室等のMXテレビの『新・音楽夜話』に、立花家橘之助が出たというので、録画を見ると、もちろん二代目で、元三遊亭小円歌なのだ。
彼女については以前、永六輔のラジオで聞いたことがあり、「音程がどうかな・・・」と思ったのを思い出した。
さて、三遊亭小円歌さんは、以前から寄席で端唄などの音曲をやっていたので、初代の立花家橘之助の名を継ぎたいと思っていたのだそうだ。
立花家橘之助は、明治、大正、昭和、昭和初期の大名人で、5歳で高座に上がり、円朝からも褒められて8歳で真打になったという。今レコードで聴いてもリズムとテンポが最高で、まるでジャズやロックのようにスイングしている。浮世節家元を名乗り、山田五十鈴が演じた芝居の『たぬき』の主人公のモデルでもある。
今回、橘之助の名を名乗るには経緯があり、この名跡はなぜか柳家三亀松が持っていて、彼の息子の亀松から頂いたのだそうだ。
なぜ、柳家三亀松が持っていたかは不思議だが、遊び人で知られた三亀松と同様に、橘之助は大変な艶福家で、彼女は昭和10年に京都の水害で亡くなっているので、どこかで柳家三亀松と遭遇していた可能性はあるのだから。
そして、「浮世節・立花家橘之助」と書かれた古い縦長の木の鑑札を見せてくれた。
戦前は、芸能人はこの鑑札が必要で、警察に登録されていた。だから、戦前は、どこでどの芸能に何人いるのかが完璧に分かるのである。
そして、『たぬき』も披露したが、今回も音程はどうかなと思えたのは、私の耳が悪いのだろう。
芸人にとって音程などは実は問題ではない。
越路吹雪も、いまレコードで聴くと音程には相当に問題があるように聴こえるが、実際に見た観客は誰もそんなことには文句は言わず、みな感動したのだからそれで良いのである。
二代目が、初代に負けぬ名人になることを期待したい。