寒い寒いと言っているが、今週末は節分で、節分と言えば、今や日本全国恵方巻らしい。
「恵方巻など昔からはない、コンビニの陰謀だ」とも言われている。
確かに節分に恵方巻を食べるのは、東日本ではなかった習慣だったと思う。代わりにあったのは、ちらし寿司を食べる習慣だったと記憶する。
ただ、恵方という考え方は江戸時代からあり、正月には近所の恵方の神社仏閣にお参りをするというのが、江戸庶民の正月の習慣だった。
嘘だと思うなら、永井荷風の小説『踊子』を読めばよい。
そこでは浅草のバンドマン(楽隊屋とでも言うべきだが)と踊子(ダンサー)の夫妻が、今年の恵方にお参りをするという場面が出てくる。
これは大映で映画化されていて、恵方参りの場面は出てこないが、清水宏監督、京マチ子、淡島千景、船越英二らの共演でなかなか面白い映画である。
初詣で、神社仏閣に行くことが広まったのは、昭和になってからの電鉄会社の広告宣伝事業の成果で、中でも京王電鉄が始めたという説があるが、多分本当だろうと思う。
都市の近郊鉄道が発達するまで、車もない時代、普通の庶民が遠くの神社仏閣に行くことはできなかったからである。
お金持ちは、人力車で遠くの神社等のお参りに行くことはできただろうが。
恵方巻を非難する方は、初詣も非難すべきということになるわけだ。
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