最近の映画を見ていて気になるのは、アクション・カットの使い方が下手なことである。
アクション・カットが何かについては、調べてほしいが、例としてはマキノ雅弘の映画を見ればよいだろう。
多分、ワンシーンワンカットの流行で、だらだらと撮っておけば良いとの考えが蔓延しているからだと思うが、映画の基本は小津や成瀬を出すまでもなく、カット繋ぎである。
私の考えで、アクション・カットの使い方が上手いのは、市川崑と山田洋次である。
市川は、もともとはアニメーション作家なので当然だが、山田も非常に上手い。
『男はつらいよ』がなぜ面白いかは、脚本がよくできていること、渥美清や森川信らが上手かったこともあるが、山田のテクニックもある。
彼は、渥美がギャグ台詞を言うと、そこでカットし、カットを変え、ロングで全員を捕る。
そして、全員が爆笑するのだが、この時、ほんの少し時間を盗んでいる。
多分、0.5秒くらいで、聞いた者の笑いがはじけているカットにつなげている。
つまり、これを連続してみると、寅次郎の台詞で笑いがはじけた場面になるのである。
これは松竹の伝統なのかと思うと、『釣りバカ日誌』のバカ監督は、ギャグシーンをワンカットで撮っていて、少しも面白くないので、野村芳太郎あたりから伝授された手法なのかもしれない。
いずれ調べてみようと思う。