日曜日は、テレビ、新聞で、富山県現代美術館が開館したので行く。開館記念で、クリムトなど、名画だらけのようだが、中では甲斐庄楠音のが凄い。着物の前をはだけた女性で、ほとんど裸。さすが溝口健二の美術で日本美術の異端児だった甲斐庄である。
また、丸木位里の原爆の図まであるのだから、企画者は頑張ったのだろ。だが、ここで一番面白かったのは、玄関の像アニマルを造る作業のビデオだった。巨大な欅の木をチェーンソーでカットして行く、まるで今日死が伝えられた、ドビー・フーパの『悪魔の生けにえ』のように。
3階には、滝口周造の書斎があり、所有していたものが展示されているが、滝口が書いているようにガラクタである。彼の友人、知人からの贈り物が多い。要は、滝口にとって意味のある者ばかりである。使用価値はあるが、交換価値はゼロだろう。
ただ、この展示の滝口の経歴のどこにも彼が、pclにいて、企画や記録をやっていたことが
ない。新興の映画会社だった東宝には、彼の他山下菊二もいたし、作家の田中千禾夫や三好十郎もいた。特に、三好には大きな影響を黒澤明は受けていると思う。黒澤明と三好十郎については、転向者としての共通性があったが、それについては別に書く。