「ユダヤの精神史」の3回目は「言語から見たユダヤ」で、東大の鴨志田聡子さん。
イデッシュ語とヘブライ語の関係はよくわからないものだが、古代にユダヤの地で話されていたのは古代ヘブライ語とアラビア語だそうで、キリストが生きていた頃は、大体アラブ語だったそうだ。
だが、旧約聖書はヘブライ語で書かれている。
ユダヤの滅亡後、欧州各地に移住して、南西ドイツにいた人たちが話していたのが、イデッシユ語で、ドイツ語の影響を受けたものだった。それが次第に迫害で東欧に移動し、ポーランドやロシアに居住するようになる。
画家のシャガールはイデッシユ語だったそうで、彼の絵にはイデッシュ語のサインがあるそうだ。
また、スペインに行った人の言葉がラディノ語で、これもレコンキスタ以後トルコへと移住する。
19世紀末から、欧州でのユダヤ人迫害に対し、パレスチナへの復帰運動・シオニズムが起こり、特にロシア、東欧のユダヤ人がパレスチナに行くようになる。
イスラエルの初代大統領のベングリオンがその典型で、ポーランド生まれで戦前にパエスチナに移住し、シオニズムに参加し初代の首相になったが、「イデッシュ語は嫌いだ!」と言ったそうだ。
このように、イスラエルの公用語は、現代ヘブライ語だそうだ。だから、次第にイデッシュ語を話したり、小説を書くという人は減っているとのこと。
村上春樹のヘブライ語の翻訳はあるが、イデッシュ語はないというように。
鴨志田先生によれば、古代ヘブライ語とイデッシュ語の関係は、漢文と日本語の読み下し文のような関係を想像するとわかりやすいそうだ。
ヘブライ語では数行の分が、イデッシュ語では、その3倍くらいの長さになってしまうとのこと。
因みに、ロシアのシベリアにもユダヤ自治州があり、南米のブラジルやアルゼンチンにもかなりいて、日本では1,000人くらいだろうとのことだった。