先日見た『大日本スリ集団』には、高橋紀子と酒井和歌子の女優が出ていた。
当時、酒井和歌子は内藤洋子と並び、東宝の二大青春スターであり、内藤派かと酒井派かのばかばかしい議論があった。
私はもちろん、内藤派だったが、今回酒井和歌子の映画を見て理由がわかった。
酒井も可愛いが、それで終わりで他に何もないように見える。
だが、内藤洋子には、画面に現れたもの以外の何かがあるように思えたのだ。
彼女は、いつも比較的上層の大人しいお嬢様役を演じたが、実際はかなり活発な女性だったようだ。
つまり、その意味では、彼女は実際の自分とは違うものを演じていたのである。
それこそが演技の第一歩なのだ。
それは、かの原節子が、実際はビールが大好きで、皆と囲んで陽気な麻雀をする、さばさばした女性であったように。