1953年、昭和28年は日本映画全盛時代で、キネマ旬報のベストテンでは、
1位 『にごりえ』 今井正監督
2位 『東京物語』 小津安二郎監督
3位 『雨月物語』 溝口健二監督
4位 『煙突の見える場所』 五所平之助監督
5位 『あにいもうと』 成瀬巳喜男監督
6位 『日本の悲劇』 木下恵介監督
7位 『ひめゆりの塔』 今井正監督
8位 『雁』 豊田四郎監督
9位 『祇園囃子』 溝口健二監督
10位 『縮図』 新藤兼人監督
とまさに名作揃いだった。黒澤明が入っていないが、『七人の侍』の撮影が長引いて、この年には公開できなかったのである。
さて、さらに凄いのは、興行収入で見ると、
1位 『君の名は・二部』 3億円
2位 『君の名は・一部』 2億5千万円
だが、なんと8位が『東京物語』で、1億3千万円だった。
2005年のBS・NHKの番組で、西河克己と篠田正浩らは、「小津安二郎の映画なんかはヒットしていない」と言っていた。
だが、事実はそうではなく、それなりにヒットしていたのである。