1933年に作られた特撮映画の名作、同年夏に円谷英二は京都でこれを見て、本格的に特撮映画を作ることを決意する。
製作のRKOは、当時不振続きだったが、この1本で回復したと言われている。
映画製作者デナムが、南海の島の巨大なゴリラを連れて来ようと、ニューヨークから航海に出て、売れない女優のアン・ドワン(フェイ・レイ)を連れてゆく。
島の場所は、シンガポールの近くらしいので、マレーかインドネシア、ボルネオあたりだろう。
昔、旅行でジャカルタに行き、アートセンターで映画を見ると、次週公開の予告編をやっていて、それは怪獣物で、カリマンタン島が舞台のようだった。
その島には、原住民がいて、1930年代なので、その描き方、また島にいる恐竜の姿などは、今から見れば相当に違和感があるが、特撮はすごい。
そして、原住民が、アンをゴリラの人身御供に捧げてしまい、製作者や船長らが救出に向かうが、ゴリラと恐竜らとの戦いが続く。
『キングコング』というと、ニューヨークのエンパイア・ステート・ビルに登っているキングコングが有名だが、シーンとしては、ニューヨークの場面よりも、南海の島でのアクション・シーンの方が長くて、いろいろな手が展開される。
確かに、今見ても、どうやって撮影したのか、と思う程に特撮は上手く、円谷英二が驚嘆したのも無理はない。
最後、飛行機による機銃攻撃で、コングは地上に落下して死ぬ。
「美が野獣に勝ったのだ」
アン役は、個人的には、1976年のリメイク版のジェシカ・ラングの方が好きだが、一応名作に敬意を表しておく。