録画してあった大林宣彦の『彼のオートバイ、彼女の島』を見るが、みていて相当に気分の悪くなる作品だった。
大林はそう嫌いではなく、メジャー1作目の『ハウス』も面白いと思い、併映の『泥だらけの純情』はひどいと思ったくらいだ。
だが、この1986年とバブル時代に作られた映画はひどい。
その理由は、私がオートバイや車を愛好しない性だが。
誰も本気で映画を作っていない。
それにやたらに「風を感じる」などのバカな台詞が出てくるので、笑ってしまう。
時々、風を云々する映画や舞台を見ることがあるが、大体ダメである。理由は簡単で、風を感じると言うのは皮膚感覚なのだから、それはセックスと同じで、
やたらにただ「感じる、感じた」と言われても白けるのと同じことである。
脚本がなぜか東映出身の関本郁夫で、こういう洒落た映画はやはり無理で、同じバイク映画でも『不良番長』や『スケバン』シリーズとは違うのだ。
映画と言うものはなかなか難しものであることが良くわかる。
原作の片岡義男の小説は好きで、昔は随分読んだが、これは読んでいなかったと思うが、彼の小説は映画化して成功したものは少ないと思う。
その理由は、片岡の小説がもともと映像的なので、すぐに映画化できると思うが、そうはいかないものなのだ。
藤田敏八監督の『スローなブギにしてくれ』も大して面白い映画ではなかったと思う。
さて、バブル全盛時代で、主人公の音大生たちが贅沢な学生生活を甘受しているのがおかしい。
日本にもこんなに豊かな時代があったのだと。
主役の原田貴和子も脇の渡辺典子も良くない。
特に原田貴和子は、悪くない女優だが、アクの強さがないので、主役スターになるのは難しいかったと思う。脇役なら生きられたのだろうが。
スターと言うものは、山口百恵が典型だが、どこかアクの強さやこちらに引っ掛かる、時には欠点を持っているものなのである。
原田知世の方が、むしろいくつかの欠点があったので、同じ姉妹ながら、スターになれたと言える。
その後、Vシネマで強面になった竹内力が純情青年で出ているのが非常におかしい。
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