今回の東映大泉撮影所特集で、見たかった作品の1本。
美しい女性の楠侑子がベッドでの悪夢から目を覚ますと、夢のとおり、夫が急死したことを知らされる。
その葬儀場で、彼女は弁護士から、夫が別荘を持っていて、そこで死んだことを初めて知る。
その別荘は、大塚の古河庭園の屋敷だが、そこでせむし男の西村晃によって次から次へ異様な事件が起きるが、筋がややのんびりしていて、周囲には次第に鼾が聞こえ、私も少し眠ってしまう。
また、カットされたシーンもあるようで、筋の展開は少々わかりにくく、説明性がなく、イメージを展開されるやり方である。
目を覚ますと、毛利菊枝さんが霊媒師のようなことをやっていて、せむし男の西村晃と一緒になって、さらに楠を痛めつける。
その他、西村が愛玩する白痴的な女を裸にしようとするなど、エロ的なシーンも多発する。
ともかく日本映画史に残る、怪奇映画の名作だが、今見るとやや古臭いのと、楠が弱弱しい女性ではないので、恐怖感は薄い。
やはり、恐怖映画のヒロインは、山本廸夫監督映画の酒井和歌子のように、脆弱でないと恐怖が迫ってこないと思った。
楠は、新人会、俳優小劇場のヒロインとして、また『赤い殺意』で、西村晃の同僚で、妻の春川ますみの不倫を追及するまじめな女子職員として日活映画でも活躍された。
だが、1970年に別役実と結婚し、女優としては引退され、一人娘は作家として活躍されているとのこと。
水戸黄門様が、せむし男とは初めて知った。
ラピュタ阿佐ヶ谷