新聞によれば、神奈川県議会が、今月の定例会で速記を廃止するそうで、今後は録音による議事録作成になるそうだ。
私の記憶では、横浜市会では、だいぶ前から録音による議事録作成になっていたはずだが、私が市会に入った1970年代にはきちんと速記者がいた。
速記は非常に便利なもので、きわめて速く音声言語を記録できるものである。
日本では、明治期に田鎖綱紀氏によって考案され、若林甘蔵氏によって落語の三遊亭円朝の話が本に記録され本で即売され評判になった。
円朝は1900年に死んでいて、1903年のガイズバーグ録音に3年不足し円朝の噺は聞けなかったのだが、人情噺として読めるのは、この速記のおかげである。
歴史を遡れば、速記的な記述は非常に古く、もともともカタカナは、漢語、漢文を読み下す時の簡便な記録法から始まったのだそうだ。
日本の速記法には、田鎖式の他、いろいろな流派があり、早稲田式、参議院式、衆議院式などがあり、それぞれ養成所を持っていた。
私が見聞きした速記の話で、一番傑作だったのは、横浜市会で、速記者同士が婚約したときのことである。
その話が分かったとき、担当課の課長は、係長に
「なぜ毎日二人を見ていて、仲を見抜けなかったのか、結婚すればどちらかを配転させなければならないのだから」
この時の係長の答えがふるっていた。
「速記でやり取りしていたので、俺にはわからなかったのだ」
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