連休の最後、21日は、神保町シアターで『その手にのるな』を見るつもりだったが、行くとフィルム状態が悪くて中止、代わりは加藤泰の『陰獣』とのことで止す。
鈴村たけしさんなら大喜びしただろうが、もちろん私も加藤泰は好きだが、この『陰獣』は、香山美子の裸だけが見どころで、全体に暗いのでやめたのである。
地下鉄で清澄白河に行き、深川江戸資料館の企画展『長屋』関連講演を聴く。
時代考証学会会長の大石学先生のお話し。
江戸時代の江戸は、町人はもとより武士も多く江戸に住み、都市文化を満喫したとのこと。各大名もみな江戸に生まれ、江戸に育ったシティー・ボーイであったこと。
そして、江戸城の天守閣は、5代将軍家綱の明暦の大火で焼失してしまい、以後再建されなかった。もちろん、建設しようという声もあったようだが、それよりも江戸の町の復興が先で、戦争のための天守閣など今更不要とのことで作られなかったそうだ。
だから、吉宗の『暴れん坊将軍』や『大奥』で、天守閣が出てくるのは大ウソなのだそうだが、
「絵にならない」とのことで製作者は天守閣を出してしまうそうで、『大奥』の打ち上げの時、先生はプロデューサーから「済みません」とビールを注がれたそうだ。
その他、いろいろ面白い話があり、長屋の住民には、今のような市民的権利はなかったが、税金もなく、良い生活だったろうとのこと。
そうでなければ、江戸幕府が260年も続くはずはなく、時代劇に出てくる、甘利大臣のように、悪徳商人から賄賂で武士が悪政をしていたというのもウソなのである。
私の考えでは、あれは、サイレント末期の「傾向映画」が反政府的として取り締まられ、現代劇として作れなかったことの代替である。
あの腐敗役人と悪徳商人とは、実は当時の政府と資本家のことなのである。
江戸城に天守閣がある映画は非常に多く、去年のいい加減な大嘘映画『終戦のエンペラー』にも出てきてびっくりした。
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