私は、以前から戦前からの時代劇、伊藤大輔、衣笠貞之助、マキノ雅弘らの演出は、振付芝居で、ほとんど日本舞踊みたいなものだと思ってきた。
それは、マキノ雅弘の自慢話を読むだけですぐに分かるに違いない。
最近、それを証明する証言を意外な本で発見した。藤浦敦の『だんびら一代』である。
藤浦氏も、ロマンポルノの末期に、本番作品を撮ったことがあるそうだ。その時の問題点に、男優が立つのを待たなくてはならず、その間の待機時間が掛かって極めて非効率的だったというのだ。
これは逆に言えば、藤浦氏の演出が、段取り芝居の振付演出だったことを明らかにしていると思う。
藤浦氏は、伊藤大輔に私淑しており、この関係から窺えるのは、伊藤大輔演出は、段取り芝居であり、舞踊のようなものだったということだと私は思う。