野田秀樹の新作劇である。21世紀の反戦劇と言えるのではないか。
反戦の劇は、掃いて捨てるほどあるが、それはほとんどはリアリズム劇だった。これは例によってまったく違う。
いつものうるさい喜劇が1時間半を過ぎる頃になると、リアルな人間魚雷回天をめぐる劇になる。
日頃はふざけていた者が急に真面目になると気をつけろと言うのが、かつて吉本隆明が言ったことだが、まあこれは許せるのではないか。
21世紀の「戦争を知らない子供たち」のわれわれとしては、戦争は喜劇から入って悲劇を示すという形でしか描けないのではないかと思うからである。
これ以上は、『ミュージック・マガジン』に劇評を書くので詳しく書けないが。
東京芸術劇場