1953年に作られた東京映画作品、1時間足らずのもので、添え物として製作されたもの。
話は、西銀座の風呂屋の主人で「町の親分」が二本柳寛で、小説家徳川夢声と知り合い。
原作が林房雄で、彼の他小津安二郎映画で有名な菅原通斎も出てくる。この人が小津映画以外で見たのは初めてだが。
二本柳は独身で、居酒屋の女・木匠まゆりに惚れているが、彼女は正体不明の男・加藤春哉とも付き合っていて、プロポーズされたという。
そこで、二本柳は、男気を出して自分は諦めて、加藤と木匠を自分の風呂屋で結婚式を挙げさせるという。
仲人になった徳川らの見る前で式は始まろうとするとき、バーのマダムの清川虹子が現れ、
「加藤は、私のものだ!」と彼を引き連れて行ってしまう。
あっけにとられる一同だが、徳川夢声は、二本柳と木匠をその場で結婚させて、ハッピーエンド。
どこにも捻りも何もない劇で驚くが、この映画の監督は、『ゴジラ』の脚本を書くことになる村田武雄なのである。
このあまりにも普通の映画から、『ゴジラ』への変身には驚くしかない。
木匠は、若山セツ子に似た清純派だったが、米軍人と結婚して引退したそうだ。
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