録画しておいた『滝を見に行く』を見るが、15分過ぎても少しも面白くない。私の経験では、始まって10分すぎてつまらない映画が、途中で面白くなることは絶対にない。
そこで止めて消去すると、CSで石原裕次郎の『零戦黒雲一家』をやっている。何度か見ているが、やはり面白く、また舛田利雄は意外にも抒情的な、ロマンチックなところもあり、最後まで見てしまう。
話は、太平洋戦争末期、ガダルカナル選の4か月後と言っているので、1943年夏頃で、南方の取り残された島に、新任の飛行隊長として中尉の石原裕次郎が飛んでくる。
そこは、はみ出し者の集団で、岡本喜八の『独立愚連隊』と似た世界であり、後の勝新太郎の『兵隊ヤクザ』の、登場人物全員が勝新のような筋である。
一人、いつも赤ふんどしをひらひらさせている愛嬌のある顔の中年兵がいて、「見た顔だな」と思っていると、天王寺虎之助だった。
いつものように、内田良平、草柳幸二郎、江角英明、近藤宏、榎木兵衛、木島一郎らが出てくる。
笑えるのが途中米軍機が、裕次郎、二谷英明との空中戦の果てに、島に着陸、捕虜にさせられてしまうのが、ジャック・セラー君、と言っても誰も知らないだろうが、雪村いずみと結婚していた若者である。
なぜ出たのか不思議だが、ギャグ協力で永六輔の名があるので、彼の紹介だと思う。
永六輔は、この頃日活に出入りしており、石原裕次郎・浅丘ルリ子の名作『憎いあンちくしょう』で裕次郎が演じた北大作は、実は永六輔をモデルにしたものなのである。
いろいろ話はあるが、飛行隊とは別に島には設営隊もいて、隊長が大坂志郎、豚を飼っていたりするのも面白い。遊びに豚レースなどもあるが、今では動物虐待として撮影できないシーンである。
最後は、芦田伸介艦長の潜水艦が来て、無事救出となり、生き残りの最年少兵で、航空自衛隊の浜田光夫の回想で話が語られる。
だが、実はこの大作の陰で、もう一つの物語が進行していたのである。
大作のため、撮影地の種子島他、九州で2か月間日活の藤林甲、松山宗らの各部のボスが東京を不在にしている時、根本悌二が日活の組合を結成していたのである。
これが次第に力を持ち始め、1970年に会社が倒産しかかったとき、組合が主導権を握り、日活ロマンポルノへの発展を作り出すとは、誰も予想できなかったことであるのだが。
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