今朝の東京新聞に、江戸川区葛西臨海公園での海水浴を実験的に行うことが出ていたが、私は大井の平和島で海水浴をしたことがある。
父親が連れて行ってくれたと思うが、小学校に上がる前だったので、1953年頃だろう。
多分、京急の平和島駅からだと思うが、かなり歩き、赤い橋を渡って島に着いた。
葦簀張りの海水浴場の店があり、ちゃんと海水浴場になっていたが、今は平和の森公園になっているところあたりだと思う。
対岸は民家や料亭などが見えたと記憶している。
だが、水があまりに汚いので、「これはひどい」とほとんど海には入らず、すぐに家に戻ったと思う。
当時の大森海岸が出てくるのが、小津安二郎の映画『早春』で、池部良が岸恵子と浮気をする旅館は、大森海岸である。
そこは昭和初期から花街があり、蒲田撮影所の人間だった小津は、良く知っていたはずで、戦後の汚れは彼にとっても実感だったと思える。
当時、東京湾内で、水がきれいだったのは、横須賀の馬堀海岸だった。
ここにも母親や隣に住んでいた母の妹の旦那さん、つまり叔父さんらと行ったことがあり、ここは非常にきれいだったが、外洋に近いせいか波が荒かったと思う。
今は、西武によって埋立られて高級住宅地になっていて、海岸はない。
多分、ここも「西武のインチキ埋立」だったと思う。
ともかく近年、東京、横浜などの水質や大気がきれいになっているのは事実で、これは喜ばしいことである。
当時の横浜の大気汚染がひどかったかについては、黒澤明の『天国と地獄』を見るとよくわかる。
冒頭のタイトルから常に画面がぼんやりとして曇っているように見えるのは、実は当時の大気の汚染である。