東映で、戦前にマキノ雅弘が阪妻主演で作ったものの大川橋蔵でのリメイク。今回の東映時代劇特集で、見たかった作品の1本だが、あまり面白くなかった。
娯楽大作としての面白さはあるが、肝心の話があまり納得できない。
徳川綱吉の悪政に対して、飯田の平家の御曹司の橋蔵が江戸城に乗り込んで、綱吉や柳沢吉保(柳永二郎)の悪政を糾す。
だが、その悪政の実態が台詞で説明されるだけで、ドラマにはなっていなくて理解できないので、なぜ橋蔵が偉そうに台詞を言っているのだと思えてしまう。
最後、敗れた橋蔵は、丘さとみとどこかへ旅立っていくところでエンドマーク。
鈴木静一の音楽は抒情的で、大川橋蔵には悲劇的な貴公子のロマンテックな恋物語が似合うので、なんとなく納得してしまうが。
大川橋蔵で最高の作品は、言うまでもなく加藤泰監督の『風の武士』に違いないだろう。
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