Quantcast
Channel: 指田文夫の「さすらい日乗」
Viewing all articles
Browse latest Browse all 3529

武蔵小杉、お前もか

$
0
0
夕方、神保町の岡田則夫さんのいにしえ書房に行き、先月の「1964年東京オリンピックの頃」のためにお借りしたSP盤を返しに行く。
東大史料研究所の杉山さんもいて、いにしえ書房の応接間であるヴェローチェで話す。
中心は、いかに都市からスラムのような地域がなくなっているかとのこと。
岡田さんも杉山さんも私も、そうした路地や密集した粗悪な住宅地、小さな店などが大好きで、近年急速になくなっているのは実に嘆かわしいことで一致する。
東映のヤクザ映画では、こうしたスラム・クリアランスをする近代主義者の安倍徹や天津敏らは、ラストで鶴田浩二や高倉健に斬られることになっているのだが、現実はそうならない。
中田宏、松沢成文ら松下政経塾出身者は、こうしたスラム・クリアランスが好きで、横浜の黄金町の「売春ゾーン」を浄化された。
まったく文化を理解できない連中である。
文化には、そして都市には必ず闇があり、それなくして文化、芸術はありえないのだから。

岡田さんが風邪気味とのことで、飲まずに夕刻に別れて私は地下鉄に乗る。
いつもの三田線で北品川の「ほ志乃」に行くつもりだったが、三田駅を乗り過ごしたので、そのまま武蔵小杉まで行く。





ここは、かつては日本電気の工場があり、戦時中には「工業都市駅」もでき、戦後に国鉄武蔵小杉駅と一緒にされたとのこと。
汗くさい労働者の町だったが、、今は急速にお洒落な町に変貌し、この夜もハロウィーン化粧の女性が闊歩していた。
ビルの谷間の「玉や」で飲む。
やはり、闇を愛するおじさんたちで一杯だった。
ここにも愛好者がいた。

Viewing all articles
Browse latest Browse all 3529

Trending Articles