1921年、映画制作に乗り出した松竹が、小山内薫を招聘して研究所を作り、そこの作品として公開したもの。
脚本は牛原虚彦、監督村田實、小山内の他、鈴木傳明、英百合子らが出ている。
以前、フィルムセンターでも見たことがあるが、サイレントで何もついていないのでよくわからなかった。
今回は、1954年にフィルムセンターの前身ライブラリーの特別事業として行われたもので、サイレント・フィルムに徳川夢声の口演がついた解説付きのものなのでよく理解できた。ただし、途中の30分は、録音がなし。
話は、政治家を辞め、山中で製材業をやっている父親小山内、息子の鈴木伝明は、音楽家を志して家出し、落魄し妻と娘を抱えて放浪している。
その山には、金持ちの別荘があり、令嬢の英百合子がいて、おきゃんな金持ち娘を演じている。彼女は戦後は、東宝のおばんさん役専門だったが、当時彼女はモガの一人で有名だったとのこと。
伝明は、ついに父のところに戻ってくるが、小山内は、心では息子を許しているが口に出せず、鈴木は妻と娘を置いて、雪中に家を出ていく。
その夜は、クリスマスで、英の家では、木こりたちや八木節の芸人が来て、クリスマスを祝っているが、この八木節芸人が出てくるのがおかしい。
彼らは、街頭では『鈴木主水』を歌い、踊っている。
翌日、雪の中に死んでいる鈴木伝明が発見され、「総ての人間に憐れみを与えよ」とのゴーリキーの言葉が字幕に出て終わる。
この「すべての人に憐れみを」というのはフェビアニストだった城戸四郎のイデオロギーと同一であり、それが山田洋次に至る松竹映画の思想である。
フィルムセンター
脚本は牛原虚彦、監督村田實、小山内の他、鈴木傳明、英百合子らが出ている。
以前、フィルムセンターでも見たことがあるが、サイレントで何もついていないのでよくわからなかった。
今回は、1954年にフィルムセンターの前身ライブラリーの特別事業として行われたもので、サイレント・フィルムに徳川夢声の口演がついた解説付きのものなのでよく理解できた。ただし、途中の30分は、録音がなし。
話は、政治家を辞め、山中で製材業をやっている父親小山内、息子の鈴木伝明は、音楽家を志して家出し、落魄し妻と娘を抱えて放浪している。
その山には、金持ちの別荘があり、令嬢の英百合子がいて、おきゃんな金持ち娘を演じている。彼女は戦後は、東宝のおばんさん役専門だったが、当時彼女はモガの一人で有名だったとのこと。
伝明は、ついに父のところに戻ってくるが、小山内は、心では息子を許しているが口に出せず、鈴木は妻と娘を置いて、雪中に家を出ていく。
その夜は、クリスマスで、英の家では、木こりたちや八木節の芸人が来て、クリスマスを祝っているが、この八木節芸人が出てくるのがおかしい。
彼らは、街頭では『鈴木主水』を歌い、踊っている。
翌日、雪の中に死んでいる鈴木伝明が発見され、「総ての人間に憐れみを与えよ」とのゴーリキーの言葉が字幕に出て終わる。
この「すべての人に憐れみを」というのはフェビアニストだった城戸四郎のイデオロギーと同一であり、それが山田洋次に至る松竹映画の思想である。
フィルムセンター